野口竜平
誰にも見せない日記をはじめてから4ヶ月がたった。
朝、起き抜けにコーヒーをいれて、コンビニで購入した大学ノートをひらき、頭をよぎったもの、目に入ったもの、から連想ゲームのように取りとめもなくボールペンを走らせる。それを2ページか3ページくらいやる。
文章としての脈絡はなくてよく、むしろその方がおもしろい。
悶々とした気持ちを書いたり、目に入る机の上のドローイングについて言及したり、今日やるべきことの優先順位や、そもそもなんでやるのかについて書きつけたりする。
過去のページを見てみると、注意散漫なページが続いた後、事務作業を片付けたことによって気分が晴れ、猛烈に未来の活動計画にふけるようになるまでのある秋の2週間の流れがよく見てとれた。
日々の繰り返しは、おれを、ぼんやり灰色な時間を漂うクラゲのような気持ちにさせるが、日記を読み返すとやはり、何かしらのターニングポイントは存在していている。
定住の生活には、そのターニングポイントすら気づけなくさせてしまう過保護なシステムや過剰な刺激であふれていて、本能がそれらへ順応しようとする過程で景色が灰色になっていく。些細な心の機微を追うことでそれに気づく。
細やかでバラバラな事態の記録の蓄積から、変容してゆく自己の認識がはじまる。おれは思ったよりもずっとたくさんのことを、人にも自分にも隠しながら生きているよう。
この日記は誰にも見せない。
–
日記をやるようになったのは、別府市に拠点を構えるようになってからである。
それまでは特定の拠点をもたずに、旅のない間は主に東京の友人宅を転々としていたのだが、世の中が変な感じになり、かつ計画していた芸術探検の旅にも出られない、ならばいっそ温泉生活がしたいと思い、温泉がひた溢れる街別府の、芸術家が優遇される古い木造のアパートに入居することにしたのだった。
1人当たり2部屋が割り当てられ、1階をアトリエに、2階を寝る場所にする。
固定された私的な場所など俺には必要ないというスタンスだったが、これはこれで快適な生活を送れていて、人が近くにいることでできなかったことがたくさんあるのだなと気づく。日記は特にそうだ。
–
流れていれば大丈夫
これは、ここ数年間で獲得した自身の活動指針である。
4年前に体調を崩し、3年前に温泉と出会い、2年前に徒歩の旅をして、去年は眺めの良い場所で絵を描いていた。
厄年に起こった体調不良は、あらゆることの滞りによるものであったと思う。
治癒の過程で、地球上をダイナミックに巡る温泉に体を浸し、地底の熱が血を巡らせ、ひたすら歩き続ける日々を過ごし、河川や高速道路がいつでも見渡せる部屋でステイホームしたことで気がついたことだ。
身体か、景色か、地球か、そのいずれかがちゃんと流れていること。それを実感できていること。これがおれにとっての基本原理である。
この街は、いたる所から温泉が湧いて溢れ続けていて、だいたい100円とか200円で入れる。気まぐれの気分転換でふらっと浸かりにいったりする。疲れや強張りが流れていく。豊かな土地に住んでいる。
–
この一年間で10キロくらい太った。
ずっしりとした態度で物事に向き合えるようになった気がしなくもない。今年仲良くなった人たちの中には、「野口さんは落ち着いている、」という人もいる。
対して、パッとどこかに登ったり、突然ジャンプしたり、といった瞬発性が鈍くなったというかイメージできなくなった気ような。
今年は沖縄の諸島をタイヤひっぱりする予定。
–
年末に祖父が死んで、家族(特に父)との関係が少し変わったような実感がある。形見に靴下と毛布と宇宙の本をもらってきた。
火葬した骨を盗んで食べた。左足の指の骨。
盗む瞬間をいとこたちが目撃していたようで、夜の飲み会で「お兄ちゃん骨どうするの?」と聞かれた。
ポケットに入れて、火葬場の山から降りるマイクロバスの中で食べたのだ。窓から夕陽が射し込んでいた。
–
祖父とおれは全然気が合わない感じだったけれど、なんというか、これからは、情けなすぎることはできないなという気持ちになった。
今日は友人の個展のトークショーの配信をみた、めちゃよかった。
清島アパート、今年もベップ・アート・マンスの会場として様々な企画をご用意しています!
清島アパート利用者のアトリエを公開!
さまざまなジャンルの作品や制作現場を見学することができます。
12/12(土)〜1/31(日)の毎週土・日・祝日のみ開催
要予約・入場料100円
詳細・ご予約はこちらから
オープンアトリエ開催期間中の毎週土曜日、
トークイベントやワークショップなどの
週替わりイベントを開催いたします。
12/12(土)〜1/31(日)の土曜 ※1/2は除く
17:00〜19:00
詳細・ご予約はこちらから
<スケジュール>
12/12(土) 「クリスマスソングを作ろう」
Chuck Open カンパ制
※予約締切ました
12/19(土) 「チャジラ=ゾウ怪獣、別府に上陸ス!」
SHIN KOYAMA 無料
12/26(土)「自分だけのZINEをつくろう」
ズッキュンゴリラ 安武 萌 無料
(家にあるいらないもの[チラシや布など]をお持ちください)
1/9(土)「清島新年会」
紙屋温泉2階公民館(別府市千代町11-27) 1,000円
1/16(土)「棒歩き」
野口竜平 無料
(好きな棒をお持ちください)
1/23(土)
「別府町方美術館開館記念講演会」
勝 正光 無料
(オンライン配信あり)
1/30 (土)
「津奈木町の美味しいものを食べる会」
大平 由香理 カンパ制
晴れの日(FacebookページとHPで発表)
「犬散歩 ウィズ ユー」弁弾萬 最強(ベンダマン グレート)
持ち物: 魚肉ソーセージ
こんにちは、Chuck Openです。
ビートメイキング・レコーディング・ミキシング・マスタリングで多忙な日々です。
ビートメイキング:作曲や編曲みたいなものです。リズムの打ち込みが主体です。
レコーディング:録音です。ノイズに配慮しながら、カメラのピントを合わせるようにマイクを立てます。
ミキシング:録音したものの音質や音量のバランスを整えます。
マスタリング:媒体や他の楽曲とのバランスを考慮して、ミキシングした曲全体の音質や音量を整えます。
うまくいかなくてきついときもあるけど、楽しいです。
自分主体の作品を作れないのが唯一の不満です。いまは溜めの時期だと思ってやっています。
プログラミングもやりたいし、映像制作もやりたい。
サブスクもいいけど、何かを生み出すことの方が気持ちいい。分かち合えたら最高。
関わる人にはもっと創造的になるお手伝いをしたいし、仕事を回したい。
人の制作物に関わっていると、アーティストとエンジニアの境目が分からなくなるときがあります。
機能と脱機能、意味と脱意味のバランスで仕事の在り方はいくらでも変わるという気がしています。
生意気に聞こえるかもしれないですが、それは、プロとアマの二項対立の外にあるんだと思います。
温泉みたいなもので、湧いているものがすべてではないのかな、と。
NHさん・Sさん・Hさん・Mさん・Nさん、
スムーズに行かなくて申し訳ないです。納期確定してるもの優先で進ませてください。
年内には全部リリースします。したい。しよう。
あと、Hさん・Kさん、年明けには作業したいです。Nさん、ぼちぼちやりましょう。
伝わっているかどうかわからない業務連絡をしました。
新型コロナウイルスの蔓延以降、自分の時間やお金の使い方をよく考えるようになりました。
自分がやっていることでお金をいただくということに苦手意識があったのですが、
「自分だったらこれにいくら払う」という考え方をすることでちょっとずつ変わってきています。
でも、「お金じゃ逆に効率悪くない?」と思うこともあります。
最終的にはお金じゃ買えないのを欲しくなるから。
まあとにかく、音楽に関わることで仕事をいただいているのは夢みたいです。
大倉山のミスドで一緒に働いてた仲間たちに伝えたいです。
今じゃプラスチックのドーナツ焼いてるの、笑える。
Uさん、忙しいのにいつも相談に乗ってくれてありがとうございます。
タプ屋さん、O livingさん、いつも話聞いてくれてありがとうございます。
まだこれからが始まりという気がするし、
この先にどんなヴィジョンを持ってやっていくか、探る日々です。
音楽のことを考えていると、「非音楽」とか「反音楽」とか「半音楽」って何だろう、
という問いにたどり着くことがあります。
アートマンスの企画ではちょっとそこに踏み入るようなことをやるつもりです。
ところでこういうソフトがあるんですけど、
https://www.dtmstation.com/archives/21917.html
そのうち写真や絵画から音楽作れるんだろうなあと思っていたら、こんなものを見つけました。
https://finders.me/articles.php?id=233
リスペクトしかないですね。ちゃんちゃん。
*追記
最近はPlastikmanの作品をよく聴きます。あとLINE漫画の『声なきものの歌~瀬戸内の女郎小屋~』『弱虫~チンピラ~』にはまっています。
大分県立美術館は今年で5周年!
5年前は混浴温泉世界 開催年で、県立美術館も開館し、大分のアートが大変盛り上がった年でした。
10月25日、大分県立美術館開館5周年記念関連事業、「カドウ建築の宴inOPAM」に清島アパートが参加しました!
県内で引き続き活動を続けている 元住人達も出展しており、大変な賑わいでした。
もともとは延期になっていたイベントでしたが、このように 改めて開催されることになり、有難いです🙏
現在、清島アパートでは12月に開催される毎年恒例、ベップアートマンスへ参加するため 住人達が準備をしています。
感染症対策も考えながら、楽しいイベントも考え中!
ぜひ 遊びに来てください〜!