2019年度活動報告 山下紘加

私は2019年6月中旬の入居でした。

まず滞在期間中に制作したものを載せます。(サイズ未記入ですみません。)
ブーゲンビリアが落ちていく 2019
キャンバスに油彩

 

無題 2019
キャンバスに油彩

 

鉄輪のおばけ 2019
キャンバスに油彩

 

無題 2019
木炭、紙

 

別府・大分や、その周辺地域は本当に描きたい景色にたくさんであいました。山をあんなにいろんな角度で見たことがありませんでした。それも一度にそれを知るのではなく、ひょんなことから見つける喜びと、時間をかけて色の移り変わりを見つけたり、それでもいつも遠いという存在が果てしなく悲しい時がありました。
10月から3週間ほどベップ・アートマンスではべっぷ駅市場の空き店舗で展示を行いました。
自分の作品の展示空間として必要最低限のものはなんなのかしっかり考えることができました。
同時に開催したアーティストトークは、自分の作品と影響の受けた作家や、今活躍している海外のアーティストの作品を一挙スライドで紹介しました。私も楽しかったです。
いま、生まれた 2019
キャンバスにアクリルと油彩

 

11月には岡山県、宇野にある東山ビルでの個展を行いました。
なぜかここに画像が載せれないので、https://www.hyamashita.com/toru
上のリンクからどうぞ。
キュレーターの石川吉典さんに展示のタイトルを考えていただき、またテキストも寄せていただきました。
8月頃から会場の下見と、展示のコンセプトや作品についてやりとりを続けていました。
このテキストは見に来られた方が手にとって持ちかえれるように展示場所に置いていました。
家に帰ってから、または、何年か後にでもたまたま隙間から出てきたとかで読んでみることで、この展示を思い出すことも想像していました。それは展示のコンセプトである「夢と現実や、時空を超えて自分たちの身体に宿っている記憶」を体験してもらえることにもなり得ると考えていました。
このテキストでは直接作品について触れているわけではないのですが、作品を’見て’感じたことを次は’読んで’みて体験する、そこから生まれてくるものを各々感じ取っていただけたらいいですね、というようなことを石川さんと話していました。
そういう意味でテキストは一つの作品に近いものでした。

今回のテキストを含んで完成する展示の形式は、”いかに伝えるか”ということを展示形式から強く意識できました。それは作品の前から去ったあとのことまでも想像して作ることができるのだと知りました。普段はキャンバスの中だけでそれを実践している個人プレーですが、与えられた条件の中で、誰かとこうして作り上げる空間がとても楽しかったです。勉強になりました!石川さん、ありがとう。
そして宇野で出会った人々、また会いたいと思った人がこんなにたくさんいて驚きました。
人と人の間に風が吹いている感じがしました。
東山ビルにとても感謝しています。与吟さん、ありがとう。
そしてこの10ヶ月を通してたくさんの方がスタジオに訪れてくれました。
アメリカから来てくれた友人たちとは普段なかなか話せないアートの話をしたり、とてもいい時間が過ごせたし、別府、大分で出会った人達、遠いところから連絡をくださり来てくださった方々もいました。うれしかったです。
風呂上がり、竹瓦 2020
キャンバスに油彩

 

また11月から約3ヶ月間、ベルリンのギャラリーでも作品を展示しました。下のリンクより展示模様ご覧ください。
1月、2月に制作していた作品
まだ無題 2020
キャンバスに油彩

 

この他、自分のアーティスト活動以外にもKASHIMA 2019 BEPPU ARTIST IN RESIDENCEや、ベップ・アートマンス2019などでアート事業の運営側のスタッフとしての経験もできました。
普段は作る側にいるので、それを届ける側の目線での意見を聞けたり、そこに生じていた違い、各々違ったアートの経験をもつ観賞者を対象とする難しさなど、作品ができてからの作品の行方に対してそれぞれの立場からの思いを感じることができた。
一つの作品のまわりにある経験、作った側やそれを届けようとする側、鑑賞者達、それぞれが一人の人間としてその作品に対して感じた経験があるのだとわかりました。
よく考えてみれば当たり前のことなのに、今までは巨大なアート界という塊に向かって一人で動いている感覚みたいなものがあったからかもしれない。別府での生活の中で、知らなかった個人の感想を多く聞けたり、いろんな人との出会いや関わりからも、そこに対する自分の意識の変化が出てきたと思います。
作品と人が出会う時はいつも一対一なんだと気づきました。
自分の作ったものに新鮮な驚きや発見、分からなさを感じられたら、その作品もまた誰かにはっきりと出会える可能性があるということだろうと思います。
普段の生活の中で、誰かや何かに感動したり惹きつけられたり、新しいことを発見する瞬間があります。自分の中ではそれと同じような、出会うということなんだろうと思っています。
そういうことを確かめることもできた滞在期間でした。その可能性を信じて日々制作に向かいたいと思うし、それを忘れないために、目の前で起こることにちゃんと向き合って暮らそうと思いました。
最後に、いろんな景色を見せてくれた人たちとこの土地にとても感謝しています。
あたたかく迎えてもらい、送り出してもらえました。
ありがとうございました!
またあいましょう!
最後に描いた作品
菜の花のにおい届けたい 2020
キャンバスに油彩

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です