2019年度活動報告 勝 正光

清島アパートに入居し11年が経った勝 正光です。
2019年度の活動から以下の3つについて報告します。
・ 《別府市立浜脇中学校美術講師》
・ 《未展示作品プラン》
・ 《ONE BEPPU DREAM AWARD 2020 ファイナリスト》



●まずは、《別府市立浜脇中学校美術講師》。
2学期より別府市立浜脇中学校の美術の外部講師を任されることになりました。浜脇中学校には
美術専任の先生がおらず技術家庭科と社会科の先生が兼任しているので、兼任の先生とともに教壇
に立ち技術指導面を担当しています。授業内容はすでに決まっていたのですが、2年生の最後の授業
で〈鑑賞の授業〉1時間と〈実技の授業〉2時間を内容も全部決めて授業出来るチャンスをいただき
ました。その授業が大好評だったので、特に盛り上がった〈鑑賞の授業〉の報告を致します。(新型コロ
ナウイルス対策で休校に入るために最後となった授業で「勝先生の卒業式」として小さなセレモニーを
してもらいました。生徒たちの卒業式もままならないのに、サプライズでこんな用意をしてくれていて
大変嬉しかったです)

その授業は特に前置きもなく突然始まります。

「題して、美術 なにがすごいんでしょうかクイズ〜」

「シンプルに。小難しいこと抜きで、いわゆる美術作品のそもそもなにがすごいのかをクイズ形式で
1問3分間隔でどんどん出題するのでどんどん答えてください」


「第1問!さてこれはなにがすごいんでしょうか」…といったかたちで、生徒たちが次々発言出来るように
促します。


最初は固かったですが、この3問目から『赤潮を集めた!』『熱帯魚を集めた!』と臆せず答えが出るよう
になってきました。
「みんなが答えてくれているようにいろんな解釈を巡らせるのがアート作品の意図するところなので
必ずしも正解に当たらなくてもいいんだけど…」とその状態ですでに授業の目的は達しているのですが、
「あえて言うと、正解は、こんなふうにいろんな答えが出てくるようにするためのもっともシンプルなもの
なんじゃないか」と答えたところ、『え、じゃあ、シート?』と正解も出ました。


特に忘れられないのがこの5問目。
出題して間髪入れず『あのモナリザがニセモノで、こっちがホンモノ!』と予想をはるかに超える答え
が飛び出て僕は震えました。もうこれだけでこの授業をした大収穫を得たと思えました。
「大正解!!!でいいと思うんだけど、この作品の実際の作られ方は別にあります」と答えると、生徒から
も答えが続き…『じつは実在している人間!』「おしい!ある意味、人間はホンモノです」
『顔はめ?』「う〜ん、もうほぼ正解!」


その後の問題も我先にと次々答えてくれて狙った以上に盛り上がり、しかも全13問ほぼ全問正解まで
行き着きました。 しかし正解は「いろんな答えが出てくるようにするもっともシンプルなもの」なので、
生徒たちが出したすべての答えが正解と言えました。
興味が湧いたら後から追えるように「じつは今日出題したのは教科書に掲載されている作品ばかりです」
と伝え、最後に教科書以外から1問出題。


名だたる作品を答えてきた生徒たちは「真っ黒に塗りつぶした!」『なにで!?』「ペンキ!」「マジック!」
「鉛筆!」『←正解!』とほぼ即答で当たり、『これは勝 正光という作家の作品です』と明かし、この流れ
で自身の展覧会の告知もして、この授業のクイズなのに対話ようになった想定以上の反応に驚きと
感謝を伝え授業の終わりを宣言したところ、生徒全員の拍手のなかチャイムがなりとても臨場感溢れ
る授業になりました。


●つぎに、《未展示作品プラン》。
新型コロナウイルスの影響で予定していた展覧会がなくなったので、ここで作品プランを報告させて
ください。(現在展示予定はすべて白紙状態ですが、次回が決まり次第このサイト上で告知します)

・拠点から半径10kmほどの範囲の史実を素描
・複数のタイトルをもつドローイングが複数ある作品群
・一つのドローイングに一つのタイトルとは限らない、一つのタイトルに一つのドローイングとは限らない
・意味が増えていくごとに更新するドローイング
・タイトルある分だけ増えるキャプション
・定まらないインスタレーション

「仏崎自画像の模写」
「仏崎部分素描」
1820×1820mm
鉛筆、紙
2019

「大黒像か恵比寿像の素描」
「瓜生島恵比寿像赤塗り面の模写」
「赤松村安国寺跡大黒像の顔素描」
500×600mm
鉛筆、紙
2019


「藤田嗣治別府滞在時モデルの素描」
「今氏の母素描」
600×500mm
鉛筆、紙
2019


●最後に、《ONE BEPPU DREAM AWARD 2020 ファイナリスト》。
別府市主催の起業家コンテスト「ONE BEPPU DREAM AWARD 2020 起業・創業部門」でファイナ
リストに選出され、2/29(土)の大会でプレゼンテーション予定だったのですが、こちらも新型コロナ
ウイルスの影響で延期。ファイナリスト選考時のプレゼンテーション内容をここで報告させてください。
(事業実現に向けて、この状況下では人は集められませんが資金集め等の準備を進めてますので、
なにか一緒に出来そうな方いらっしゃいましたら、コメントやメッセージ、katsumasamitsu(a)
gmail.comまでご連絡いただけると幸いです)

「こちらが10年後の世界に誇る別府のアート村の姿です」


「おいちゃん僕こないだ別府の絵描いてヴェネチアで最高賞穫ったよ」「ほ、そりゃすげえの~、
ヴェネチアちどのへんかえ」


「すばらしい!ここに私のギャラリーをオープンさせていいですか?一緒にがんばりましょう!」
「もちろんです、ようこそ別府へ!」

「にいちゃん僕今日は亀の絵を描きたい!」「よしいいねえ、一緒に描こう!友達も呼んで来ていいよ」

あらためまして「別府にアートの村を」。こんにちは勝 正光です。別府移住11年目の画家です。


こちらにあるのが僕の鉛筆で描いた作品です。別府を題材にして世界に発信することを目指していま
す。次は東京上野の美術館の展覧会に参加予定です。


大阪出身で武蔵野美術大学を卒業し、現代美術家 村上隆氏主催のコンペで銅賞・佐藤可士和賞
・電通賞受賞をきっかけに アメリカ等で展示活動していました。

この真ん中が13年前の村上氏と僕です。
目指した場所で活動していたものの、追い込むあまり机にはりつきすぎて自宅のイスなのにエコノミー
症候群になり、これ以上続けると死にますよと宣告され先が見えず心身壊していたころ、2009年の
芸術祭に誘われ別府に初めて来ました。


その会場のひとつがこの別府市末広町にある清島アパート。僕はその会期中に東京の家を引き払っ
て移住を決めました。

その理由がこの写真にあります。

この真ん中にいるのが大家さんの石丸麗子さん。

麗子さんは大家業に疲れ果てはじめ僕らのこともいぶかしげに見ていたのですが、集まった作家仲間
でアパートを盛り上げ続けていたところ、最初は杖をついて両脇抱えられてやっと来ていた麗子さんが、
来るたびどんどんみるみる元気に美しくなっていき、しまいにはご親族を連れて車イスの旦那さまを自分
で押してまで来てくださったんです。
そのときの写真がこれです。
そこにはそれまで感じていたアートとの垣根なんてものはまるでありませんでした。


僕が移り住んでから10年、年度ごとに募集し作家が入れ替わり住んできて、NPO法人BEPPU 
PROJECT運営のトキワ荘のようなアーティストのシェアアパートとして続いています。

その清島アパートのいまの様子がこちらです。


アパート公開日に来た地域のお客さんと絵を描いている様子


入居者が取り上げられたTV放送を集まって見ている様子など、





偶然会った同士なのに、当たり前のようにアートを囲んで、自然な距離感で混ざり合っています。
これはまるで温泉のようで別府ならではだと思っています。


ここに映っている…

山本さんは10年間毎日清島アパート来ている近所のおじさんです。
なんでそんなに?って聞かれたら山本さんは

「いままで美術館に死んだ人の作品見にいってたやんかい。こいつらは生きとる。そんなん見れんわ
なあ普通」と言います。それを聞いて、もうアートに正解なんか求めるより先に勝手に意味を見つけて
しまっているな、とハッとしました。そういう場所を作りたい。ここなら作れると確信しました。


こちら昨年度までの芸術祭の総来場者数です。今年度は約15,000名でした。


それを通じていままで移住者も


120人を超えています。



この清島アパートからはじめて、今後、


空き家や文化的価値高い空き施設を再利用し拠点を増やすことで、


さらに関係する人口も増え、移住も促進され、


アートの村とも呼べるまで充実させて、


この別府の魅力を県内外に発信していきたいです。
そのためにまず 第2の清島アパートから作りたいと思っています。思い入れのある空き家を持つ家主
さん情報や、その地域との繋がり方など、知恵や力を僕にかしてください!みなさんと一緒に作り上げ
ていきたいので、ご協力お願いします!以上です、ありがとうございました

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